司法書士と弁護士との棲み分け

弁護士と司法書士の職域や業務の棲み分けについては今まで何度も議論となってきたことでした。
そんな中平成15年度に司法書士法が改正になりました。
法廷に関する特定の研修を経た司法書士は認定司法書士となり、簡易裁判所管轄案件に限り弁護士同様の活動が許されるようになったのです。
ただし司法書士は弁護士と異なり資格取得後の実務研修がありません。
そのため、法務大臣が指定する特別研修を修了し、試験に合格した者しか認定司法書士として活動はできません。

簡易裁判所管轄とは訴額が140万円以下の事件になります。
今まで訴額が少額な事件は弁護士の引き受け手がいなくて、訴訟を断念したり本人訴訟で対応する当事者の方が大半でした。
そういった方々の不利益を守るため、法律がようやく改正され、認定司法書士が彼らの代理人となることができるようになり、当事者の権利を守ることが出来るようになったのです。
簡裁代理権付与によって法律相談も行えるようになりましたし、司法過疎地、弁護士過疎地においては弁護士の代役として期待されている司法書士も数多くいます。

実際の所、司法試験を諦めて司法書士を目指す方も多いようです。
司法試験は受験するだけでも厳しい要件があります。何年もかかります。
その点司法書士試験は難易度が高い試験ですが受験条件がありません。
つまり誰でも受験料を支払いさえすれば受験出来る資格なのです。

わたしたちの日常で起こりえるトラブルは何も大きなものばかりではありません。
訴額が低い、小さな事件もたくさんあり、より身近な法律家として司法書士の存在が期待されているのです。

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